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横浜市南区の不動産会社栄都

賃貸物件の退去時における原状回復義務の修繕分担表

2012年3月3日 土曜日

平成23年8月の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の再改訂を踏まえ、

退去時の原状回復費用に関するトラブルを未然に防止する観点から、貸主・借り主の

双方が、入居時に原状回復に関する条件を確認するようになっています。

退去時に借り主が行う原状回復の内容・方法については、貸主と借り主で

協議した上で実施するようになっていますので、下記内容が絶対という訳で

はありません。賃貸する際は、必ずどちらの負担になるのかを明確にして

借りるように心掛けて下さい。

【賃貸人(貸主)・賃借人(借り主)の修繕分担表】

賃貸人(貸主)の負担となるもの

賃借人(借り主)の負担となるもの

【床(畳・フローリング・カーペットなど)】

1. 畳の裏返し、表替え
(特に破損してないが、次の入居者確保のために行うもの)
2. フローリングのワックスがけ
3. 家具の設置による床、カーペットのへこみ、設置跡
4. 畳の変色、フローリングの色落ち
(日照、建物構造欠陥による雨漏りなどで発生したもの)
1. カーペットに飲み物等をこぼしたことによるシミ、カビ (こぼした後の手入れ不足等の場合)
2. 冷蔵庫下のサビ跡
(サビを放置し、床に汚損等の損害を与えた場合)
3. 引越作業等で生じた引っかきキズ
4. フローリングの色落ち
(賃借人(借り主)の不注意で雨が吹き込んだことなどによるもの)

【壁、天井(クロスなど)】

1. テレビ、冷蔵庫等の後部壁面の黒ずみ(いわゆる電気ヤケ)
2. 壁に貼ったポスターや絵画の跡
3. 壁等の画鋲、ピン等の穴
(下地ボードの張替えは不要な程度のもの)
4. エアコン(賃借人(借り主)所有)設置による壁のビス穴、跡
5. クロスの変色
(日照などの自然現象によるもの)
1. 賃借人(借り主)が日常の清掃を怠ったための台所の油汚れ
(使用後の手入れが悪く、ススや油が付着している場合)
2. 賃借人(借り主)が結露を放置したことで拡大したカビ、シミ
(賃貸人(貸主)に通知もせず、かつ、拭き取るなどの手入れを怠り、壁等を腐食させた場合)
3. クーラーから水漏れし、賃借人(借り主)が放置したため壁が腐食
4. タバコのヤニ、臭い
(喫煙等によりクロス等が変色したり、臭いが付着している場合)
5. 壁等のくぎ穴、ネジ穴
(重量物をかけるためにあけたもので、下地ボードの張替えが必要な程度のもの)
6. 賃借人(借り主)が天井に直接つけた照明器具の跡
7. 落書き等の故意による毀損

【建具等、襖、柱等】

1. 網戸の張替え(特に破損はしてないが、次の入居者確保のために行うもの)
2. 地震で破損したガラス
3. 網入りガラスの亀裂
(構造により自然に発生したもの)
1. 飼育ペットによる柱等のキズ、臭い
(ペットによる柱、クロス等にキズが付いたり、臭いが付着している場合)
2. 落書き等の故意による毀損

【設備、その他】

1. 専門業者による全体のハウスクリーニング
(賃借人(借り主)が通常の清掃を実施している場合)
2. エアコンの内部洗浄
(喫煙等の臭いなどが付着していない場合)
3. 消毒(台所・トイレ)
4. 浴槽、風呂釜等の取替え
(破損等はしていないが、次の入居者確保のために行うもの)
5. 鍵の取替え
(破損、鍵紛失のない場合)
6. 設備機器の故障、使用不能
(機器の寿命によるもの)
1. ガスコンロ置き場、換気扇等の油汚れ、すす
(賃借人(借り主)が清掃・手入れを怠った結果汚損が生じた場合)
2. 風呂、トイレ、洗面台の水垢、カビ等
(賃借人(借り主)が清掃・手入れを怠った結果汚損が生じた場合)
3. 日常の不適切な手入れもしくは用法違反による設備の毀損
4. 鍵の紛失又は破損による取替え
5. 戸建賃貸住宅の庭に生い茂った雑草

原状回復義務における経年劣化の考え方

2012年2月3日 金曜日

経年劣化とは、住宅(クロス・畳・クッションフロア・カーペットなど)は時間の経過と共にその価値が減少するということで、敷金において仮に借主(入居者)が原状回復費用を負担することとなった場合でも、経年劣化を考慮し、価値の減少分まで負担させる必要はないということです。

そして価値の減少分が、「通常損耗(自然損耗)」となるのです。                              

毎月支払っている賃料には「経年劣化、通常損耗(自然損耗)による修繕費用は含まれている」とされていますので、例え故意、過失、善管注意義務違反等で、クロスの張替え費用を全額、借主(入居者)が負担することとなった場合でも、「経年劣化・通常損耗(自然損耗)」分を差し引いた額しか負担する義務はなく、当然、住宅(クロス・フローリングなど)の価値は年々減少していきますので、長く住めば住むほど負担割合も少なくなるのです。

例えば入居後1年で退去した場合と、10年で退去した場合では、当然、価値の減少分「通常損耗(自然損耗)」は大きく異なります。
国土交通省の原状回復をめぐるトラブル事例とガイドラインによると、
◎入居後(新品のクロス等の場合)4年で退去⇒「約50%の価値減少」
◎入居後(新品のクロス等の場合)10年で退去⇒「約80~100%の価値減少」

となっていますので、例えば入居後(新品のクロス等)4年で退去した場合で、借主(入居者)の故意、過失等でクロスを損耗させてしまった場合でも、クロスの張替え費用全額負担する必要はなく、半額負担でよいと考えられます。

要するに4年で退去した場合、「自然損耗分(価値の減少による修繕費費用等)50%」は、4年間支払った家賃に含まれていると考えられているので、退去時に自然損耗分まで支払う必要はないのです。

自然損耗分については明確な基準がなく、一概に何年住めば、何%が自然損耗分とはハッキリとはいえませんので、自然損耗分について理解したうえで、最終的には貸主(大家さん)、借主(入居者)双方の話し合いによって、妥協点を探していくしかないのです。

中には借主が何も知らないという事で修繕の見積もりを出して全額請求する場合もあるので、借主の立場として予め理解しておくことも大切なことです。